EDIT
一言で言えば昔ながらの住宅街とアパレル企業の街。とりたてて派手さはないが、しっかりと根付く独特のゆとり感に覆われた場所だ。その中でも北参道駅にほど近く、企業も多くオフィスを構える一画に、この物件がある。
ガラス張りの空間の抜けが外から見ても室内にいても気持ちの良い物件。今となっては象徴的なこの全面ガラスも、歴史を紐解くとオーナーさんのお宅だったという。木造2階建ての住居が5年前に今の姿に改築された。室内に入ると、木造ならではの細い柱が規則的に並んでおり、空間にアクセントを生み出しているかのようだ。
室内が抜けて見える分、「見せる為のオフィス」というのも面白いかもしれない。せっかくのガラスをブラインド等で均一化してしまうのではなく、例えば2階の窓際。空間の面白さを見せる為に敢えて打ち合わせエリアをつくる。人が働いている様子が常に見えるのではなく、時折その気配を感じられるくらいの見え方が良い。目を惹く見え方としては、カラーを同系色で統一することだろうか。チェアと同じ色でガラス一枚分をペイントしてしまうとか。併せて柱もカラーを施してみたり。
見えることで、空間の使い方が変わる。新しいオフィスが生まれそうな期待のある物件だ。
EDITOR’S EYE
ガラス張りの木造物件というところがツボ。
木造ならではのあたたかい雰囲気を持ちながらも、その佇まいは街の空気感に遜色ないもの。そのガラス張りによってできたこの抜け感は、間仕切ることなく大事に使いたい。