松濤オフィス | 店舗居抜きのデザイン空間
EDIT
>>LOCATION
渋谷駅から東急本店脇を抜け、松濤文化村ストリートを1本脇へ折れる。この辺りは松濤エリアの中でも特に豪邸が多いとも言われる1丁目アドレスではあるが、鍋島公園から続く緑の雰囲気の気持ちよさを保ちつつも、渋谷に近い場所だからなのかこじんまりした雰囲気の良い飲食店も散見され、格式張りすぎない街並みがとても心地よいロケーション。通りを行き交う人もそこまで多くないためか、実にのんびりとした空気感に満ちたこの場所に、周囲の建物と溶け込むようなレンガを纏い、特徴的な窓を確保した建物を見つけた。
>>SPACE
以前はアメリカ発でこだわりのあるセレクトショップが入居していたこの空間。前入居者の店舗は日本では熊本と松濤の2店舗のみだったとのことで、あえて東京の拠点として松濤のこの場所を選ぶあたり、さすがのセレクトだと感じてしまった。
室内は店舗の居抜き仕様となり、天井と壁は躯体に白塗装され、所々にディスプレイ用のラックが吊り下がる現状。もちろん使用感を感じる状態ではあるが、棚板や造作のシャープなラインや床のコンクリートの質感、全体の色味のバランスが整った空間に好印象を抱く人は多いだろう。
空間としては手前の店舗部分と奥のバックヤードスペースで大きく2つに区切られているが、間の壁を撤去することを考えると、思った以上に広さも確保が可能。キッチン設備がなかったり、壁面の再塗装しなければいけなかったりと、若干手をかけてあげる必要はあるが、淡い光の差し込む空間全体のクオリティは、こだわりを感じる本物思考と言えるだろう。
>>WORKSTYLE
スペースの有効活用をするのであれば、室内を区切る壁面を撤去し広い空間として利用するのは大前提。ただ、あえてこの空間の良い部分をセレクトしつつ活かす方向で考えてみると、中々個性的な空間がイメージできるだろう。
店舗部分は会議室兼用のフリースペースとして、実は取り外し容易な天吊りのラックを利用しグリーンを吊り下げ、ディスプレイにはお気に入りの洋書や小物を並べる。窓際にはサイドテーブルを設けて、収納部分に座っての作業なども中々気持ちよさそうだ。バックヤード部分は書類の保管も含めたバックオフィス的に使えれば、魅せるスペースとそうでない場所のメリハリのついた空間になるだろう。
残念ながら、この状態を残すことが出来る期間は実はそう長くないらしい。新しい相棒としては中々個性のある空間ではあるが、手をかけつつも相思相愛になってもらえる様な良い出会いがあれば嬉しい。
EDITOR’S EYE
固定席って必要?という考え方が全く特殊でなくなっている現状だけに、店舗レイアウトを生かしたままの利用が逆に面白い空間になりそう。「本当に良いと思うアイテム」にこだわったショップの跡だけに、負けじと気合を入れてこだわりを表現してみて欲しい。