日本橋オフィス | デザイナーズ戸建て物件
EDIT
>>LOCATION
茅場町駅から東京駅方面へ伸びる、通称日本橋さくら通り。普段は何の変哲も無いこの通りだが、春にはピンク一色に染まるロマンチックな通りへと変貌する。そんな通り沿いでもある、茅場町駅からほんの2分ほどの場所に、少し変わった建物を見つけた。中層のビルに挟まれるように、すっぽりと収まったコンパクトな建物。ギャラリーのようなモダンな見た目で、一見商業系の建物のように見えるが、実はこれ、元は住居として作られていたというから驚きだ。
>>SPACE
2006年、建築家・横河健氏によって設計された専用住居。車がギリギリ一台入れるほどの東京らしい狭小スペースに、「前面道路の桜を愛でたい」というオーナーの希望を見事に叶えたこの建物。内部は5層に分かれており、1Fの奥まった入り口を入ると、フロアごとにLDK、畳の敷かれたロフト、寝室、屋上へと、空に向かって軽快な鉄骨の階段が展開していく。と、ざっくり説明してしまったが、室内はそれぞれコンパクトなスペースではあるものの、上下が吹き抜けによって繋がっており、それぞれが独立した空間というよりは、レベルをずらしたワンルーム空間のような作り。また、この建物の本域は春に訪れる。どの部屋からも正面の桜の木を望む事が出来、特に8MほどあるLDKの大きな吹き抜け越しに望むダイナミックな桜のシーンや、その上の「畳ステージ」と名付けられたロフトから水平に望む桜の枝ぶり。年間の限られたほんの数日の中に、全てを注ぎ込んだ日本らしい粋な建物となっている。春の訪れがとても楽しみだ。
>>WORKSTYLE
この建物をオフィスという目線で見ても、割と利用のイメージがつき易い。人数を入れようとすると細かくフロアごとに分かれてしまうが、上下が繋がっているので、吹き抜けに向かって声を掛ければ容易にコミュニケーションを取りやすく、常に全体が一つにつながる事ができる。ランチや遅い夜はキッチンスペースを利用して食事を共にしたり、春秋などはアクロバティックな屋上や1Fのパーキングスペースにテーブルや椅子を並べ、そこでコーヒー片手に仕事も良いのかもしれない。少し偏見かもしれないが、このエリアのいわゆるオフィスという硬い印象の働き方ではなく、この空間を使うならよりソフトに働く時間を楽しんでほしい。春には満開の桜が室内を桃色に染め、毎年この季節が来る事が楽しみになる空間だ。
EDITOR’S EYE
なんの変哲もないビルの並びに急に現れるギャップや、桜という年間のほんの限られた数日に込められた思いの面白さ。空間はコンパクトで、LDKも有効に使えるスペースはそれほど大きくはない。しかし、大きな吹き抜けや大画面に写る外の風景が、開放感を与えてくれこのままずっといたいなと、そんな気持ちにさせてくれる空間だった。唯一の悔いは、できれば桜の季節に行きたかった。。