千駄ヶ谷オフィス | 特徴的デザインの1棟ビル
EDIT
>>LOCATION
場所は北参道・千駄ヶ谷エリア。原宿と新宿の間に位置するこのエリアだが、両者のような人の賑わいもほとんどなく、むしろ穏やかな街並みがとても居心地がいい。オシャレすぎず、とはいえどこか独特の雰囲気は持っている街なので、ファッショナブルな大人が集うエリアという印象があるだろうか。アパレル系の企業に特に人気のエリアでもあり、過去、現在に至っていくつもの有名企業がベースを構えてきた。この建物もまたその一つ。北参道駅から千駄ヶ谷駅方面へ向かって、少し住宅街を入っていくと、まるでモザイク柄のような変わったファザードの建物が現れた。
>>SPACE
元々は1棟自社ビルとして、有名企業のブランドショールーム兼オフィスとして使われていたこの建物。それが今回、オーナーチェンジによって一般募集になった。
室内は4フロアに分かれていて、各50坪ほどのシンプルな箱型。それぞれ簡単に説明していくと、B1Fは最高で3.65Mの天井高を有する元ショールームだったスペース。当時の面影をそのまま残しており、現状ではこの建物の中で一番華がある空間だ。エントランスのある1Fも、天井高は3M超えと恵まれている。ただ、内装は比較的ニュートラルにまとめられているため、華やかさは少々物足りないかもしれないが、窓沿いの個室の感じなど、雰囲気と機能面のバランスは取れた現実的な空間という印象だ。そんなB1Fと1Fとは対照的に、2Fと3Fはいずれもオーソドックスなオフィス仕様。室内は複数の個室に分けられ、実用性こそ高そうだが、少し硬い印象も受けてしまった。きっと、B1F・1Fで顔を作り、2F・3Fはきっちり業務をこなす場としてうまく使い分けていたんじゃないだろうか。
ファザードのデザインのわりに、派手すぎず、とは言え固すぎずの、絶妙なバランスを保った建物という印象だった。
>>HOW TO USE
この建物は、なかなか主張がはっきりしている見た目に対し、良くも悪くも落ち着きすぎた室内が惜しいところ。特に2F・3Fはだいぶ畏まった印象だ。B1Fや1Fはちょっとしたアレンジでどうにかなるにしても、まずは2F・3Fのテコ入れが最優先だろう。今はtheオフィスという味気のない印象だが、シンプルに天井剥がしてスケルトン仕様とし、床もタイルカーペットを変えて、スポットライトで雰囲気作りも。そんな下準備によってまずは全体の底上げをし、ようやくスタートラインに立つ。2F-3Fはデスクスペースとして地盤は固めつつ、天井高のあるB1Fや1Fで遊ぶ感じがいいんじゃないか。あまり業種を絞りたくないが、アパレルやインテリア系ならショールーム利用にいいし、例えば映像系などのデザイン企業なら、B1Fを一室プレゼンルームとして、白壁を大スクリーンとして試写室などにも活用できたらインパクトもあって面白くなるだろう。
写真からはわかりずらいが、実はこの建物、全ての窓面にはストライプのシールが貼られている。光は取り込みつつも、外からは中が見えそうで見えない、まるで建物全体に薄いモザイクをかけているような面白い作り。モザイクと聞くと、ネガティブな印象もあるが、いいものをあえて見せないという、期待を煽る効果もある。この建物もまた、そうやって見えそうで見えない期待感をそそりつつ、訪れた人には期待を上回るサプライズを与える。そんな風にうまくブランディングできたら、なかなか面白いオフィスになると感じた。
EDITOR’S EYE
現在はまだ退去したばかりで、内装は以前のままの状態。現在引き渡し状態をどうするか模索中ということもあり、今後内装の仕様も変わる可能性はあるのでご注意いただきたい。建物の見た目と、内部の雰囲気が今はまだ合っていないので、まずはこの温度感をうまく合わせるような空間作りに励んでほしい。