神宮前オフィス|1棟 リノベ済み物件
EDIT
>>LOCATION
青山通りの青山学院交差点付近から、明治通りへと抜ける緩やかな下り道。その傾斜に合わせてのんびり歩いていると、右手に工事現場のような囲いがある。そこは、元こどもの城の裏手にある空き地。現在は、都心のエアポケットみたいに何も無い状態となっており、これから何が出来るのかといつもワクワクしながら見ていた。そんな、空き地のすぐ隣、見るからに感じの良い外観のこのビルが立っていた。
>>SPACE
今回の建物は、B1F〜4F+ルーフトップの上下6層からなる200坪超えの1棟ビル。外観はタイルと左官仕上げの壁に窓枠部分を白く縁取っていたり、2Fのテラスを下から覗いた時に見える天井を木目にしていたりと、室内に入る前からセンスの良さを感じる。そして、期待を膨らませながら実際に室内に入ってみると、そこにはとことん“スッキリ”を突き詰めた空間が仕上がっていた。室内は、コンクリ床と天井のグレーに白壁という全体的に優しめのトーンで揃えられており、ハードな素材感ながら柔らかさも感じられるバランスの良さ。そして、空間内の窓の配置や照明などが等間隔にお行儀よく配置されているため、そのリズムが見る側に“スッキリ”とした心地よさを与えてくれる。そんな各フロアの仕上がりに感心しつつ屋上まで上がってみれば、白いフェンスで囲まれたなかなかのルーフトップテラスにたどり着く。周辺には、高い建物が少ないため視界は抜けていて、羽を伸ばしたい時に寛ぐことが出来る場所。全体を通して際立ったデザインの主張はないが、とても丁寧にまとめられた良物件だということは間違いないだろう。
>>HOW TO USE
外観を見た時に感じた細かい拘りを、空間の中でも十分に感じとることができる。個人的な思い込みも入ってしまうが、B1Fは、天井から空調やライティングレールなどの設備までグレーで統一されていて、とても大人しくお行儀が良い感じ。照明をつけなければ、陽もほとんど入らないことから、全体的に空間のグレーの濃さは強めだ。そして、そこから階段で上層階へ徐々に上がっていくと、自然と陽の差し込む量にも変化が生まれ、だんだんグレーの色味が淡くなっていく感覚に、気持ちまで明るくなっていく。最上階の4Fまでたどり着けば、3方からの採光が差し込み空間全体の明るさが明確に違った。よく見れば、天井から設備まで白く整えているという演出に気付いてテンションは上がり、感心すらさせられた。そして、締めは屋上まで上がって、広い空き地と空が広がっていてテンションは最高潮。下から上がるごとに空間や気分が変化する体験を楽しみつつも、1棟ならではのフロアによっての使い方や、レイアウトの見せ方も変えたりと色々遊べるこの建物。渋谷、明治神宮前、表参道と、駅からの距離はそこそこあるものの、その躱した感じの立地と完成度高めの建物との相性が“絶妙”と頷かずにはいられなかった。
EDITOR’S EYE
1Fで軽飲食の店舗も相談可能だったりと使い方の自由度は高く、面白そうだ。
また、建物の隣にあるエアポケットのような場所は、現時点で時期や内容は未定だが、大規模な再開発予定地となっているようだ。急速に進む都市の再開発とは逆行して時間をかけて緩やかに変化していく様子を見ていくことも楽しみである。