南麻布SOHO|建築家 坂茂氏設計
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>>LOCATION
広尾駅と有栖川公園に挟まれた静かな住宅エリアに、なんとも素敵な建物を見つけた。敷地を囲うように配置された外構と植物、その中にそっと置かれたガラスの箱。その姿は、もはや建物単体を超えた気持ちの良い環境とも言えるかもしれない。4層からなる建物で、B1Fには人気の高いギャラリーなどもあり、建物から滲み出るデザイン性、その環境からも、只者ではない存在感をヒシヒシと感じさせてくれた。
>>SPACE
募集区画は最上階の3F部分。正面の階段を上ると、ガラス越しにも室内の全貌が現れる。鉄骨の縦横グリットで組まれたシンプルな構造の為、周囲を取り囲む壁という壁はなく、4面をガラスで囲った明るい空間が広がる。室内は大きく開けたLDKエリア、3つのベットルームと水回りで構成されており、どの空間からもガラス面越しに外構の植物や樹木の表情をダイレクトに望む事ができる。ここでは四季の移ろいだけではなく、光や天候など日々刻々と変わる自然の変化を楽しむ事ができるだろう。この空間に居れば、例え気分の沈んでしまいそうなシトシトと降る雨の日でも、それすら気持ちの良い時間へ変えてしまうかもしれない。きっとそんな不思議な力を持った空間と言えるだろう。住居系物件の場合、部屋割りや収納、水回りなどスペースを有効に使えない作りが多いが、この空間は無駄なくスッキリとした構成のため、オフィス空間としても使い勝手の良さは十分感じて頂けるだろう。
>>WORKSTYLE
この建物には、”IVY STRUCTURE”という作品名がつけられている。これは外構を覆うアイビーという植物が何か別の構造体に頼らないと自立できないという特色をヒントに考え出された構造で、ガラスボックスの平面四隅が外構のフレームと結ばれており、お互いを支え合い、本来なら外壁などによって保たれる水平力を外構にうまく負担させているという。なんとスマートなアイディアだろう。それによって生まれた壁のない空間には、日々サンサンと光が挿しこみ、ガラス越しに望む植物や気候の変化を常に感じ、日々豊かな時間が空間に流れる。この空間を知ってしまうと、これまでなんと窮屈な空間で働いていたのだろうと感じてしまうかもしれない。この建物でこの空間を感じつつ感受性高く働けば、きっと仕事だけでは得られない素敵な経験を手に入れられそうだ。
EDITOR’S EYE
実はこの建物、世界で活躍する著名建築家の坂茂氏の作品。そんなことを聞いてしまうと、建築好きにはたまらない物件だ。