代々木上原SOHO | 江戸末期に建てられた古民家空間
EDIT
>>LOCATION
センスのいい大人が集う街、代々木上原。駅周辺にはおしゃれな飲食店や雑貨屋が多く、少し離れれば目を疑うような大豪邸なども立ち並ぶ、超がつくほどの高級住宅エリアも広がる。この建物があるのは、そんな駅前を背にして井の頭通りを越え、上原2丁目の高級住宅地へ踏み入れること数分ほど。立ち並ぶ建物が一つ一つが大きく、品格の違いすら感じる環境の中で、鬱蒼と茂る木々の間からチラッと顔をのぞかせるこの建物を見つけた。
>>SPACE
古い和の邸宅のようなこの建物。文化財ですか?とすら感じるいい面構えをした建物だが、それもそのはず。実は江戸末期に建てられたという古い民家を新潟から運んできて、2015年にここへ移築したのだという。100年どころじゃない長い歴史ある古民家を、現代の技術・機能を織り混ぜて再生した、ハイブリットな家。それも置かれている家具や使われる素材なども、全てが骨董品の“本物”。このノスタルジックな空間はもちろん、縁側や庭、建具、隠れた大きな囲炉裏などなど1つ1つに至るまで、どこを切り取ってもすごく雰囲気があるし、しっかり絵になる。
また、もう1つ大きなネタが。室内には、大黒柱ならぬ、地下から天井まで伸びる「諏訪の御柱」が祀られている。それもあまりに大きすぎるため、まずはこの柱を立ててから、続いてこの建物を建てたという逸話まで。もはやスケールが大きすぎて、すごい!以外の言葉がみつからない、オーナーが究極の趣味で作った家という建物だった。
>>WORKSTYLE
まるで古き日本を体現させるようなこの建物。生粋な日本人ですら、非日常と感じてしまうようなこの空間が、都心の代々木上原で出会えたのが素敵な体験だ。
閑静な住宅街の中にあるので、エリア的には純粋なオフィス利用や出入りの多い業態はNG。いわゆるSOHO(住居兼事務所)のように、代表の方が住みながら、日中は一部をアトリエやワークスペースとして使うような働き方が前提となるだろう。この縁側に腰掛けて、PCをパチパチなんて日々もいいし、お昼には皆で釜で炊いた飯を食う、そんな他ではなかない時間もここでは日常のスタイル。また、例えば着物や華道のように日本古来のスタイルを継承する方や、海外からの来客が多い方にも、日本を体現させる場として世界観もバッチリ合うのではないか。
日本人のDNAレベルまで刺激するようなこの建物。この建物で過ごすことで、改めて日本という国や、長きに培ってきた伝統の文化そのものを感じつつ、日々堪能してみるのはいかがだろうか。
EDITOR’S EYE
和の空間なのにこの洋風なシャンデリアや北欧デザインの照明。大広間の床下に隠された掘りごたつと囲炉裏など、あまりにネタが多すぎてここでは語り切れない。これは訪れた時の楽しみとして、ここで語りすぎるのはあえてやめておこう。