羽根木SOHO｜建築家北山孝二郎氏設計の建物

>>LOCATION
場所は世田谷区羽根木。下北沢駅からは僅か1駅の新代田駅の改札を出ると、目の前を走る”環七”の交通量の多さはなかなか。しかし、一本脇の路地へと入っていくと、環七の喧騒が嘘のように穏やかな住宅街羽根木が広がっている。
今回は、そんな羽根木にある著名な建築家の集合住宅群が点在するエリア。まだ木々の緑は少なく寂しげな印象だが、緑が生い茂る季節になれば、きっと森のようになるだろうという想像は容易く、東京とはとても思えないような長閑な環境にこの物件はあった。

>>SPACE
広々とした敷地の中にあるA,B,Cの3棟のテラスハウス。大小様々な区画に分かれているその中で、今回の募集はB棟1F-B1Fのメゾネット区画。コンクリートとガラスで構成された建物の室内に入ると、1F部分にLDKと水まわり、B1Fには整った正方形の空間と豊富な収納量のスペースとがあり、南側に向いたどちらのフロアも光が差し込んで気持ちの良さが感じられる。1Fに関しては、外の景色を借景のように切り取る一面の窓、そこから木々の間をすり抜けてくる木洩れ日はずっと見ていられそうな程の美しさだった。
たまたま訪れた日の天気が良かったこともあり、外ばかりに目が行きがちではあるが、もちろん空間としても魅力は十分。コンクリート打ちっ放しの壁と天井に、フローリングの床の相性は良く、さらにはこの空間を楽しむためには無駄に物を置かず、収納することがスタンダードとなるような豊富すぎる収納が備わっていた。

>>WORKSTYLE
住居がベースとなっているが、入居している多くの区画はSOHO・事務所としての利用だろう。少しメインエリアを躱したこの場所に、クリエイティブな企業が多く入居するのは、五感を刺激するようなこの空間に魅せられ、それでいて長閑で作業にも没頭できる良い環境があるからに他ならないはずだ。敷地内で鳥の囀りが聞こえ、室内からも借景の様な窓先の緑も眺められる。当然、建物としては内と外とを分けているが、空間としては外の森までも含めて完成する構成だと思えるため、外も内も関係なく、その時心地よい場所を大事にして仕事をするのも面白いかもしれない。
もう1つ、期待できることとしては、この３つの建物群に集まったクリエイターや企業同士、共通する価値観を持っているのは確か。この場所で過ごすということは、そういった同じ価値観を持った人たちと、自然と交流が生まれ、繋がりができる可能性は高いだろう。きっとここはそんな新しい繋がりを作る１つの集落の様な場所になるのでは？と思った。

敷地内の建物の一角にはパン屋さんも入居中。近所の方も多く来店する人気店で、平日・休日問わず賑わいを見せている。焼きたてのパンの香りがまた違う五感を刺激してくれるだろう。