EDIT
表参道駅と広尾駅のちょうど中間あたり。どちらの駅からも徒歩15分という立地を考えるとなかなか手を出しづらい物件だが、実は渋谷や恵比寿も徒歩圏内にある。表参道、広尾、渋谷、恵比寿という独自の文化を形成する人気スポットにダイレクトにアクセスできる立地を贅沢と思えるのは私だけだろうか。
そんなエリアの奥地に見つけたこちらの物件は、もともと住居として作られた一戸建て。接道からエントランスまでのテラコッタタイルが敷き詰められたアプローチは、車1台と自転車数台を置いても十分なほどの奥行きがある。このスペースをうまく使って、訪れる人の期待を膨らませる演出をしてみても面白いかもしれない。間取りは3層フロアの4LDKで、1Fと2Fにそれぞれ2部屋+バスルーム、最上階の3Fには暖炉付きの20帖のリビングダイニングと、ドイツ製の家電が完備されたキッチン。もちろんトイレは各階にあり、ウォークインクロゼットや小さいながらもバルコニーとテラスも付いているという。。。普段、紹介文を書く際には誤解を招くような過剰な表現は避けているが、この物件に関して言えば、住居としては十分に、働く空間としては過剰なほどのスペックと言って申し分ないだろう。光沢のあるフローリングとクロス仕上げの壁天井など、各仕様にはやや住居感が伺えるが、採光を考えて構成された各空間は、南側に設けられた大きめの窓から光を取り込み、健やかに働けそうな印象だ。スタッフや来客の動線を考える必要はありそうだが、各部屋に用途を割り振れるのは戸建物件の魅力と言えるかもしれない。
ここはあえてフリーアドレス式に働いてみてはどうだろう。まとまったスペースのある3Fをメインとしつつも、自由に働く場所を選んでみる。アドバイスをもらいに人の集まる3Fに席を構えても良いし、集中して黙々と取り組みたい仕事がある人は個室を貸し切ってみても良いだろう。フレキシブルに日々変えられるロケーションで、日々変わるお隣さん。普段はあまり関わらないスタッフとの業務の垣根を超えたコミュニケーションから、新たなアイデアが芽を出すこともあるかもしれない。部屋が分かれているため、どこに誰がいるかわからなくなってしまう問題はあるが、たとえば在空表示とスタッフの札を設置して、アナログ的に管理してみるのも面白いだろう。新たなアイデアとの出会いを楽しむように、その日働く部屋を決めてみてはどうだろうか。
南青山住所のリッチな建物だが、ただ一つ惜しむらくは、やはり駅から徒歩15分という立地。このハンディキャップを想像力でカバーできる方には、ぜひ検討いただきたい物件だ。
EDITOR’S EYE
補足となるがこの建物には通常の戸建て物件にある、いわゆる靴脱ぎ場がなく、玄関扉を開けると磁器タイル貼りのフラットな空間が広がる。オーナーが海外在住者ということもあっての仕様のようだが、入居の際はあらかじめ土足範囲を決めておく必要がありそうだ。