三番町オフィス | 建築家オーナーこだわりの1棟
EDIT
>>LOCATION
古くより都内屈指の高級住宅地として知られる番町エリア。今回紹介する三番町もまた、かつては立派な邸宅が建ち並ぶ住宅地だった。現在では通り沿いにいくつもの背の高いビルが建ち並ぶエリアとなったが、今でも大通りから一歩入ると気品漂う邸宅が静かに佇む風景に出会う事が出来るだろう。そんな、レジデンスが立ち並ぶ一角に、このコンクリートのモダンな建物を見つけた。
>>SPACE
2014年に完成したこの建物。B1-4Fまでの5フロアで構成される1棟で、3M強という高い天井高のある地下室から、最上階4Fのルーフバルコニーに至るまで、レジデンス仕様の空間が展開していく。実はこの建物、建築家でもあるオーナーさんに設計によるものだという。そのため、素材や工法、レイアウトや照明の一つに到るまで、とにかくこだわりが詰まっていて、ここでは話しきれないほどネタが豊富だ。ただ一つ、どうしてもここでお話したいのが、キッチンの写真に写る装飾。実はこれ、建築界の三大巨匠の1人、フランクロイドライトが日本に残した数少ない住宅に使われていた装飾の一部だという。その建物が改修される際に、運良く手に入れる事が出来たというこの装飾は、まず他ではお目にかかれない文化財並の貴重な品だ。そんな貴重品が当たり前のように取り付けられているのが若干怖い面もあるが、来訪者へのちょっとしたネタとしてうまく使えそうだ。
>>WORKSTYLE
レジデンスタイプの空間は使いづらいイメージしか持たれないことがよくあるが、使い方によってはオフィスビルにはない、快適さや面白みのある働き方が様々考えられる。例えばここでいうと、固定席は2部屋ぐらいに最低限に凝縮して、それ以外の場所はフリースペースとする。場所ごとに、利用方法も、テイストもガラッと変えていいだろう。特徴的な空間でいうと、地下は防音仕様になっているので、気分を高めるために爆音で音楽を流したり、夜はラウンジ的な隠れた酒の場にしたりと、遊び場8、仕事2のような使い方なんていうのもいい。逆に最上階の部屋とルーフバルコニーは、日中ゆっくりと過ごすような気持ちのいいスペース。バルコニーに人工芝やバラソルなども置いちゃって、天気のいい日はここでゴロゴロと仕事もいいんじゃないだろうか。こんな働き方、なかなかオフィスビルでは経験できないはずだ。あえてこのレジデンスという空間を選んで働くのだから、オーナーが込めた思いにも負けないような、強いこだわりをもってこの空間を使い倒していただきたい。
EDITOR’S EYE
断熱技術に特化した北海道の職人が打ったというコンクリートや、それぞれの場所に適した素材の使い方、ドアの取手に至るまで、入居者の快適性をとことん求めたオーナーのこだわりを感じる空間だ。ちなみに、部屋のプランニングには風水を取り入れているようで、台湾の著名な風水士のお墨付きを頂いたとか。