浅草橋オフィス・店舗 | 1棟フルリノベーション済みデザインビル
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LOCATION
場所は浅草橋。古くから職人たちが集い、モノづくりの文化が根付くこの街。問屋街としての顔を持ちながら、近年は隣接する蔵前とともに、若手クリエイターやデザイナーたちの活動拠点としても注目され、下町の温かさと都市の利便性が交わる絶妙な場所に位置している。この建物は、そんな浅草橋駅からわずか1分という駅前。大衆感ある飲食店や、古くからある革製品のお店などが並ぶ哀愁感漂う街並みの中に、装い新たに生まれ変わったこの建物を見つけた。
SPACE
元は地域に根ざした病院として使われていたこの建物。それを2025年に1棟フルリノベーションし、クリエイティブな創造の場として、新たな一歩を踏み出した。
室内はB1F~4Fの5フロア。1FやB1Fは、ギャラリーやスタジオのようなデザイン空間で、2Fは主張強めなタイルカーペットのクセあり空間。3Fはこの中で一番万人受けしそうなモダンテイストで、家具やMTGスペースなども一式整ったセットアップ仕様。その上の最上階の4Fは、まるで屋根裏のような作り。陽もよく照らし、斜め壁によって包まれるような、明るく包容力のある空間だ。ただ単に、今風のデザインを組み込んでいるだけの空間ではない。例えば、かつての病院時の面影を残すガラスブロックの壁を再利用したり、地域の伝統を取り入れるように、革製品の照明や什器などをオリジナルで作っているなど、芸が細かいところも面白い。フロアごとにデザインやテイストが異なり、まるでお菓子のバラエティーパックのような、ワクワク感や楽しさのある1棟ビルだった。
WORKSTYLE
かつて人を“治す”場所だったこの建物は、今はなにかを“創る”場へと。その変化は、モノづくりの街・浅草橋にとって、ごく自然な流れであり、とても素敵なストーリーではないか。
この場所に流れているのは、決して急かされるような都会のテンポではない。時間に追われるのではなく、創ることへじっくり向き合える空気感。フロアごとに異なるテイストや機能性のある空間が、働く者の気分や用途に対してもうまく噛み合う。例えば、1FやB1Fでは、街に開かれた空間として展示や撮影が自然と始まったり、3Fのセットアップされた空間では、チームでのディスカッションが活発に交わされる。4Fでは、午後の光に包まれながら、一人で静かにアイデアを育てる時間が流れる。そんな日常的な風景が目に浮かぶ。
ここでの働き方は、ただ効率を求めるものではなく、自分のリズムで創造と向き合うスタイル。そんな建物が、働くことを、もう少し柔らかく、もう少し自由にしてくれ、かつてないほど楽しい場となれたら素敵だ。
EDITOR’S EYE
かつての病院時も、フロア毎に〇〇科に分けたり、最上階は住空間だったりと、ある意味複合的に使っていたのだという。そんなDNAも引き継ぐように、フロア毎に異なる内装の組み合わせがこの建物の面白みだろう。浅草橋という少しニッチな立地ではあるが、駅からも近いなどアクセス面も良く、近隣には蔵前や日本橋エリアなど、今発展途中の環境もある。今後先の未来を見据えても、この立地という選択肢は間違いではないのではないか。