神宮前店舗｜原状回復不要の昭和20年代古家

>>LOCATION
神宮前４丁目の住宅地。竹下通りからそのまま原宿通りを進み、そのまま青山の方のまいせん通りに抜ける道をご存知だろうか？恐らく知らずともその通りの説明を聞いただけでも、ギャップの大きい道であることは感じていただけるだろう。
この建物は、ちょうど賑わう原宿から離れ、まいせん通りまでの穏やかな空気の流れる神宮前の住宅地にある。通り沿いには印象深いジブリの世界から飛び出てきたような戸建があり、この建物は、その不思議な世界観のある建物の真裏に隠れ、これまた独特な世界を醸し出していた。

>>SPACE
1953年（昭和28年）ということもあって、外観からも渋すぎるオーラが漂うこの建物。何度も手を加えたであろうその軌跡は、至る所に見受けられた。ザ、昭和というところもあれば、70年代頃の今でも雰囲気良く見えるいい感じのレトロ感もあり、平成のなじみあるリフォームまで。見ての通り、現状のまま使えるという部分はないので、もちろん全面改修が必須。ただ、入り口こそ狭くとも、建物奥にこのエリアには珍しい“お庭”がしっかりあり、住宅密集地にもかかわらず光もしっかり入ってくる。そんなところからも、建物から受けるポテンシャルはなかなかのもの。木造の躯体部分を露出して、壁などを撤去してスッキリ仕上げれば、上出来となる空間が想像できる。2F部分もしっかり面積が確保されているが、一部床を撤去してしまい、吹き抜けなんて作るのもイメージが広がる。ギシギシと軋む床を歩きながらも、久しぶりに感じる掘り出し物の手応えをしっかり感じられる建物だった。

>>HOW TO USE
「嘘の様で本当の話」というフレーズを時折聞くが、この建物を一通り見たときに、そんな言葉を思い出した。神宮前４丁目の住宅街にある開発を予定していない古家。原状回復不要で、振り切った改修も可能。蜜柑がなっているゆったりとした庭あり、そんな庭には“離れ”あり。外観は半分リフォーム済みで、半分は建築当初のままというハーフ&ハーフ。そして、建物自体の存在も、通りからは確認できず、細い路地に入り込んで初めてその存在を見つけることができる。
何が言いたいかというと、この建物の要素を書き出し、誰かに伝えようとしたら、返ってくる言葉は、「本当？」という言葉に違いないということ。そして、ポテンシャルの塊と言いたいところだが、そもそもこの物件には現状の活かせる部分が限りなく見えにくいため、ポテンシャルしかない。ポテンシャルオンリーの建物だ。
全面改修可能ということもあり、次この建物が再生する時のイメージは予測しきれないが、何せポテンシャルしかない建物だから、きっと見違える姿になり皆さんの前に登場することだろう。その際は、ここのBEFORE写真をみて、ここを借りた勇者にぜひ称賛を送っていただきたい。

難易度高め。ということはオーナーさんサイドも認識していただいており、検討の際には色々ご相談はできそうな感じではあった。
神宮前の奥まったところにあるものの、ここを改修した空間はかなりエッジが効いた建物になるはずなので、求心力は十分なことだろう。今はまだ、ごっそり、ひっそりという感じだが、華々しいリニューアルを期待したい建物だ。