南麻布オフィス・店舗|窓先が緑viewのスケルトン
EDIT
>>LOCATION
広尾駅徒歩7分。有栖川宮記念公園の緑に沿って緩やかな坂を上る。江戸時代期に盛岡南部藩の下屋敷として使われていたというこの場所は、明治期に有栖川宮家の御用地となり、その後記念公園として一般解放された。今では四季折々の豊かな自然を楽しむことができる都会のオアシスとも呼べるスポットとして多くの人に親しまれている。そんな気持ちがいい空気が流れる有栖川宮記念公園を過ぎて間もなく。石造りのほっそりとしたこの建物を見つけた。
>>SPACE
入口は前面道路に面しながらも、人目を忍ぶかのようにこぢんまりと設けられ、どこか隠れ家を訪れた様な気分で建物内へと入る。今回募集となるのは3Fのスケルトン区画。室内へと続く扉を開けるや否や、視界に広がるのは、東南2方向に大きく抜かれた開口部の先の生い茂った緑。そして、撮影時間は正午前ということもあり、陽の光が差し込むこの空間はその窓先の緑と相まって健やかさを十分に感じられた。天井の一部を沿う排水管や断熱材は、少々の残念さはありながらも、窓際のコンクリートの表面は滑らかで素地は悪くなく、敢えてそのありのままの表情を活かしたいと思うのは僕だけではないはず。
窓からの“緑”と“陽の光”この2つの要素が織りなす、ナチュラルさがコンクリートの硬く重たい印象をいい具合に中和させ、ほっと心落ち着く様な居心地の良さすら感じられた。
>>HOW TO USE
正直、使い方のイメージがしにくいかもしれないが、この空間はコンクリートの素地の色気があり、さらに窓先の緑が相性良く映えるため、その兼ね備えている素材を最大限に活かしたいと思える。それらを軸にしてイメージしてみると、まずは、入り口の少々色っぽさに欠ける扉をマットな黒の鉄扉に取り替える。床は古材のフローリングを敷き、心地よい窓面近くにはヴィンテージの皮のソファーを置く。窓先の緑だけではなく、陽当たりの良さを頼りに室内にも植物を配置し、照明は控えめに。そして、夜はいくつかの間接照明やデスクライトのみのちょっと怪しげでムーディーな雰囲気へ。そんな自分たちだけのラウンジのようなオフィスという使い方、すごくカッコ良くないか?
何より16坪程度とコンパクトのためそんな世界観は作りやすく、コストも抑えやすい。最初は難易度が高そうに見えるこの空間も、しっかり向き合ってみれば、自然とその良さに気付かされることだろう。
EDITOR’S EYE
個人的には、緑と無機質なコンクリートのこの組み合わせが好きで、この空間に足を踏み入れてすぐに恋に落ちてしまった。スケルトンは、作り込むのが前提と考えるかもしれないが、敢えて手を加えすぎないという選択肢もありと思える物件かと思った。