宇田川町店舗・事務所｜元映画館のスケルトン空間

>>LOCATION
東急百貨店本店前から奥渋エリアへと伸びる神山町通り。この通りを中心にして、下町っぽさが感じられる落ち着く雰囲気もありながら、お洒落なショップや個性的な飲食店が多く点在し、人気を博している。その通り沿いに、かつてはミニシアター系の映画館の中でも指折りの人気を誇っていたUPLINKがあった建物。印象的だったピンクのファサードとテラス席が無くなって、少々寂しげにも思える顔で立っていた。

>>SPACE
今回の募集は元々UPLINKが一括で利用していた1Fと2Fの2区画。
道路面よりも少々高い位置にある1F区画は、ショーウィンドウによる視認性の高さよりも、目線を躱し、人目を気にせず働きやすい空間へと変わった様に思える。室内はかつてカフェと映画のスクリーン、ギャラリーなど細かく隔てられていた壁が無くなり、天井高約3.2m、白く塗装された壁天井とモルタルの床だけになったスケルトン空間。空調や照明などの設備がないだけでなく、各フロアの水まわりは廊下に出ていることもあって、余計な配管などが天井を這うことがないため、潔いほどスッキリとした空間に感じられた。
共用部の雰囲気など全体的にはレトロ感の感じる建物であるものの、2Fのオフィス仕様の空間は、天井のみ躯体現しにして少々今っぽく仕上げられていたり、設備は新しいものに交換され、快適に利用できる準備も万端だ。
まとめてみれば、素地の良いスケルトンの1Fと、スタンダードだけど、新設された設備で快適な2F区画。どちらも悪くない空間で、場所も人気のある奥渋エリア。合格点ではあるのかもしれないが、この物件がそこから大きく加点され、魅力的に映っているのは、元UPLINKだった空間という歴史があるからだと、少々贔屓目に見てしまっている自分がいた。

>>HOW TO USE
個人的な思い入れがあるためか、前テナントの印象が強く残り、どこか寂しさを感じてしまうこの空間。ここでしか観られない厳選された映画を多く上映していたり、週単位でクリエイターに解放するギャラリーがあったりと、独自色の強いカルチャースポットとして渋谷の文化の一端を担ってきた。そんな場所を引き継ぎ、拠点を構えるなら、ただ働くだけの場所にしてしまうのは勿体ない様な気がした。1F区画は駐車場スペースも併せて借りることで、以前のUPLINKの様な道路から直接出入りができる動線を作ることも可能。カフェの様な寛げる雰囲気に仕上げて、ご近所さんウェルカムの開けたオフィスにするのも良いだろう。1F,2Fともにオフィスだけでなく、店舗利用も相談可能なため、ショップやギャラリー、スタジオなどを併設して、存在感を放てば、たくさんの人に親しまれる場所になるかもしれない。
たくさんの人に愛され、惜しまれながらも閉館したUPLINK。オフィスでも店舗でも、次にこの空間に入居した企業とともに、かつての映画好きだけでなく、様々な人々に愛され繋がっていく場所になって欲しいと心から思った。

1F区画ではあるが、1.5Fほどの高さにある物件のため、荷物の搬出入がある企業は検討できないと嘆くことなかれ。実は建物脇の半地下駐車場部分からエレベーターが利用できるのだ。上層階のテナントもそこから機材などを搬出入しているそうなので、安心してご検討して頂きたい。