西麻布オフィス | 安藤忠雄設計ビル
EDIT
>>LOCATION
場所は六本木。六本木通りの少々陰湿とも思えるロードサイドを渋谷方向に進み、抜けると、六本木ヒルズの存在が視界を一気に広げてくれる。光り輝く銀色の塊。その存在が、このエリアの中心であり、象徴である。そんなヒルズ建物脇をすり抜け、有栖川公園の方にテレ朝通りを進む途中。人目を躱すような奥まった場所にこの建物を見つけることができる。
>>SPACE
建物は“安藤忠雄氏監修“との期待膨らむ肩書きを纏いつつも、外観についてはそこまでの派手さはない。路地に入っている分、ひっそりと感じ、程よく街並みに馴染んでいる。
一方、空間のインパクトは大きい。地下、2F、3F、4Fと稀に見るまとまった大きな空間で構成され、オフィスというよりむしろホールといった印象をあたえてくれる。天井が高く、すっきりとした空間。そして、それらの空間を繋ぐ存在感溢れる階段は、奥まった場所にありつつも、来訪者に一度は見せつけたい存在だろう。もともとアパレルの本社、ショールームとして利用されていた建物でもあり、一般的なオフィスという仕様は一部スペースしか用意がない。このサイズ感の1棟まるごとという物件で、このクオリティを持つ建物には滅多にお目にかかれないだろう。
>>WORKSTYLE
空間の持つインパクトをどのように演出するか。この建物を利用する時、そんな視点を大事にしていただきたい。訪れた人を圧倒し、魅了する程の空間を複数フロア内包しているため、これを見せない手はないだろう。単なる自社ビルに終わらせず、この建物の魅力を最大限に引き出し、入居ではなく、コラボする気持ちで付き合っていく。そんな心構えが丁度いい。この空間をどのように演出するか。という視点は、自ずと自分たちがどのように働くかに結びつき、自分たちのワークスタイルすら、自社と空間の掲げる世界観へとシフトしていくに違いない。
EDITOR’S EYE
1棟丸ごと、地下駐車場あり、ルーフバルコニーあり。とわかりやすいセールスポイントがどこかピント外れに感じてしまうのが面白い。それはそれでポイントは外していないだろうが、そんなことよりもっと伝えるべき感想がある。とは言っても、なかなか写真やテキストでは伝えにくいスケールの大きい良物件である。