南青山オフィス・店舗・住居 | 著名建築家設計の1棟貸しビル
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LOCATION
表参道駅を地上に出て、青山通りから骨董通りへと踏み入れる。かつては骨董品店が並んでいたこの通りも、今はアパレルショップやカフェが多く点在し、ショッピングやオフィスワーカー、行き交う車も多いこともあって、常に賑やかな印象のある通りだ。そんな通りをのんびり歩くこと10分ほど。駒沢通りを超え、そろそろ六本木通りとの合流というあたりで、右手に住宅街へ入っていくと、まもなくしてひょっこりこの建物が顔を現した。
SPACE
最上部がぐいっと前に迫り出す個性的なフォルム。設計は建築家・椎名英三氏によるもので、これぞデザインビルといった面白みある建物だ。
今回はその建物をまるごと1棟貸し。室内は4フロアの構成で、細身の外観からは想像できないほど奥行きのある、いわゆる“うなぎの寝床”のような空間。1F–2Fは室内階段でつながるメゾネット仕様、3F・4Fは独立したフロアで、特に4Fは天井高3Mにトップライトや大きな開口、さらにバルコニーまで備えた特別な空間となっている。外階段やEVを介して各フロアがリズミカルにつながり、見た目のインパクトに反して室内には不思議とのんびりとした空気が漂う。竣工から30年近くを経てもデザイン的な古さは感じられず、むしろ今の時代感覚にもしっくりと馴染むようなキャラクターのある建物だった。
WORKSTYLE
土台のしっかりした1F-2F。若く勢いのある4F。その2つの個性を優しく見守る3F。そんな、まるでトリオのような掛け合いが、この建物の面白さにも思える。
フロア単位での利用も可能だが、本領を発揮するのはやはり1棟で使ったとき。ショップ利用や駐車場の利用など、1棟借りだからこその特典を活かして、1F–2Fをショップやショールームに。3Fをオフィスにして、4Fをコミュニティの場や、なんなら住居にも。各フロアの個性に合わせて役割を与えることで、それぞれが異なる旋律を奏で、全体として心地よいハーモニーを生み出していく。小ぶりな建物だからこそ、フロアごとのテンポが軽快で、リズミカルに共鳴し合える。ここでの日々は、単調な繰り返しではなく、4つのフロアが織りなすコンチェルトのように変化と調和に満ちたものになったら面白い。南青山という舞台で、仕事も交流も生活も、ひとつの建物の中で組み合わせることができる。そんなこの建物の柔軟さと一体感が、次の展開にも力強い響きを添えてくれるのかもしれない。
EDITOR’S EYE
椎名英三氏と聞いて、ふと頭を過ったのが90年代のドラマ「協奏曲」。知る人ぞ知るというドラマだが、その建築家のモデルの一人とされたのが同氏だと聞いたことがある。そのストーリーを思い出すと、3人の人間性、絶妙な駆け引きが一つの作品、音楽のように共鳴し、心を揺さぶる物語となっている。もちろん、この建物には全く関係ない話ではあるが、そんな上手い掛け合いがこの建物の中で生まれたら面白いのではないかと感じた。