表参道オフィス|常盤松御用邸近くのリノベーション空間
EDIT
LOCATION
表参道から徒歩10分ほど。骨董通りと青学の間を縫うようにして、少し落ち着いた空気が流れる裏道へ。六本木通りに差し掛かると、堂々としたガラス張りの日本コカ・コーラ本社が目を惹くものの、その足元の小さな常磐松交番の何だか頼りない感じが“くすり”とさせる渋谷四丁目交差点。さらに南に進めば常盤松御用邸があり、首都高と幹線道路が交錯するにも関わらず、ふっと空気が緩むような不思議さをたたえた一角である。今回ご紹介するのは、そのエリアを象徴するように佇むロードサイドの大きなビルだ。
SPACE
“大きなビル”といっても、実際はオフィス棟とハウス棟に分かれており、ハウス棟のさらに下半分だけがクリエイティブシェアオフィスにリノベーションされているという、ちょっと珍しい構造。
募集中の404号室はそのシェアオフィスの中でも比較的大きめのひと区画で、空調やライティングレール、ブラインド、ICカード式電気錠などが完備されたハーフスケルトン仕様になっている。天井と床はコンクリート現し、壁は一部白塗装と、近年人気の仕上がりだ。窓からは緑もチラリと見え、コンクリートの質感と3mを超える天井高などと相まって穏やかな開放感が心地良い。
貸し出す空間と反し、2Fまで吹抜けた天井高7mのラウンジをはじめ、ミーティングルームやフォンブースなどの共用部はしっかり整えられ充実感あり。少々無機質に感じる30坪に満たない空間でも、居心地も機能性も最大限味わえる環境という、なかなか美味しい物件だった。
WORKSTYLE
シェアオフィスの他の区画には、5坪前後の小さな個室や月数万円から利用可能なフリーデスクなど多様な選択肢が用意されている。そこに入居するのは、これからチームを大きくしたいスタートアップやクリエイターたち。言い換えれば、“未来の途中”にいる人々だ。専有部は拠点、共用部は交差点として機能し、ラウンジや会議室で自然に交流が生まれる。この施設全体が、彼らの成長を後押ししているかのようだった。そんなこともあり、このシェアオフィスは、出来上がった人や企業というより、“未来の途中”の人たちが集まって欲しいと感じた。“未来の途中”は、決して“現在”とイコールではない。未来を描いている人にとっての今は、意志を持って積み上げている瞬間だから。
駅前や最新のビルと異なり、機能性だけを優先している訳ではないこの美味しい物件。少し躱しながらも“未来の途中”にいる人たち。そんな組み合わせになんだかワクワクしてしまうのは自分だけだろうか。
EDITOR’S EYE
リノベーション前、この建物には島根県の市営ホテルが入居していたという。その後、島根の放送関係のオーナーにより新たな貸し方が模索され、今のシェアオフィスへと生まれ変わった。歴史の転換点を経て、いまもなお進化を続けるこの場所。”under construction(建設途中、発展途上)”であることを前向きに受け止められる人々にこそ、ふさわしい舞台ではないだろうか。