EDIT
六本木駅のほど近く、首都高沿いにある建物の一室。この土地にふさわしいスタイリッシュな空間が、そこにはあった。すぐそばにはミッドタウン、駅を越えれば六本木ヒルズ。何もかもそろった商業ビルに、21_21や森美術館といったアート空間までもが内包された充実ぶりだ。そこには、おしゃれで洗練された物々、そして人々に出会う機会で溢れかえっている。そんな贅沢なエリアに、この空間は存在する。
今回募集しているこの一室は、建物自体新しくないものの、2008年にリノベーションによって一新されている。扉をあけて中に入ると、そこには普通ある玄関のような、窮屈なスペースは存在しない。いわゆる土間的な空間が約11畳にわたって広がっているのだ。自転車を主な移動手段としている方にとっては、相棒をカスタマイズするのにうってつけの空間であることは間違いないであろう。数歩すすむと一段の段差があり、それより向こうはクラシックな面持ちのフローリング調のシート仕上げとなっている。リアルなフローリング等も質感が楽しめて嬉しいが、この仕上げという事もあって、SOHO物件によくある、玄関で靴を脱いで、、という事は必要なく、土足でガシガシと上がり込めるのは有り難い。それほど広いとはいえないワンルームでも、こうして空間に変化があることで室内の使い方にバリエーションができてくるのがうれしいものだ。壁のコンクリートの表面は滑らかで、うっすらと光が反射する。天井のコンクリートはまた少し表情がちがい、こちらは無骨さをやや残しておりそれがまた格好いい。金網が印象的な壁には、足下から間接照明が照らされていてこれがまた気分を盛り上げてくれることだろう。
そういったこだわり深いディテールの他に、この部屋のもう1つの特性をあげるとしたら、部屋の仕切り方が面白い。段差部分にある木の扉を4枚スライドさせれば、完全に仕切ることができる。そして土間的な空間のちょうど真ん中あたりに、薄い金属製のカーテンがある。1枚1枚はとても薄く軽くてパンチング加工されており、均一に穴があいている。つまり、これは完全に向こう側が見えなくなる訳ではないのだが、この質感が1枚隔てるかどうかで集中力もだいぶ変わってくるのではないだろうか。写真から感じ取れるように、極めて男性的な色気のある空間。2〜4人が私生活も充実させながら仕事もバリバリとこなす。そんな様子が思い浮かぶこの空間を、ぜひ活かしてほしい。
EDITOR’S EYE
キッチンや風呂も備わったこの空間をSOHO的に、ひとりで贅沢に使うことができたなら、仕事仲間や友人に羨ましがられることは請け合いだ。そんな人たちがこの空間をより密度の高いものにしてくれることを、待ち望んでいる。