原宿オフィス｜ヴィンテージマンションの和テイスト空間

>>LOCATION
神宮前の交差点から明治通りを千駄ヶ谷方面へと進む。原宿警察署を越えたこの辺りは、原宿エリアの賑やかさからは、少し落ち着きが出始め、妙に心地良さを覚える場所。そんな印象に感じられるのは、単純に人通りが少ないとかいった理由ではなく、この辺りに多く立っている建物の経年の色気が漂い、神宮前の中でも趣を感じるエリアだからなのかもしれない。その中にある一つ、やはりこの建物無くしてヴィンテージマンションは語れない、という伝説の建物をご紹介しよう。

>>SPACE
募集は上層階の6F区画。管理の行き届いた共用部を抜け、レトロな木製の扉を開けた先にある空間は、これまで過去に紹介してきたこの建物内の空間とは一味違う、個性の光る空間だった。
1LDKの住居仕様がベースとなる点は他の区画と変わりないが、メインとなるLDK部分の一面は窓で、全て障子で覆われた和を感じるテイストの空間。天井の梁のコンクリートを敢えて白く塗装せずに残した絶妙なバランスも、良い印象を与える要因なのだろう。そんな障子を開けば、建物裏側に向けた窓の外は低層の住宅街のため、空が広く、明るさも充分の気持ちの良い空間へ。逆に障子を閉じれば、障子から漏れる柔らかな光によって、この空間の居心地の良さは格段にアップする様に感じられた。LDKを介さない小部屋は打合せや来客用のスペースとしてもちょうど良いサイズ感だったり、屋根付きのバルコニーでちょっとしたリフレッシュもできたりとなかなか実用的。
室内の雰囲気もさることながら、働く上での使い勝手の良さも兼ね備えた空間だった。

>>WORKSTYLE
1964年TOKYO五輪の年に生まれ、2021年2度目のオリンピックを経て、今なおここに立つこの建物。デザイナーズマンションの礎を築き、オリンピックと共に世界を賑わせたのももう半世紀以上も前。そんな建物も老朽化には勝てず、数年前から建替の計画が上がっているが、それがいよいよ本格的に現実となってしまいそうなのだ。そんな中、新規で募集されたこの区画も、ご多分に漏れず2年間という限定的な募集となる。2年間はギリギリ、それ以上については、今回ばかりは確約が難しい状況のため、なかなか一歩踏み出しにくいのも現実ではある。そんな室内は雰囲気良く誂えられた和を感じる居心地の良い空間とあって、内装をいじらずとも、家具のチョイスだけで充分その良さを味わうことができるだろう。そんな風にそれほどコストをかけずとも成立する空間でもあるため、この伝説的な建物の最後を見届けるということをプロジェクトとして入居するなんてのも悪くないかもしれない。
短期的な利用を敢えて選ぶというのは多少なりともリスクはあるだろう。しかし、それ以上に、原宿エリアを代表するこの建物に一度は入居して、建物を味わい、歴史を肌で感じる。そんな風に愛をもってこの建物に入居してくれる方がいてくれたら本望だ。

数年間建て替えするする詐欺の様な状態ではあったが、約1年後に正式な建替の会議を行うことが確定した様だ。そこで明確に時期などが決まるであろうとの見解が高まっているため、いよいよという状況になっているのは事実。もし本当に取り壊されてしまっても、伝説の建物として、これからも語り継がれることは間違い無いだろう。