神宮前オフィス・店舗 | Paul Smith居抜き
EDIT
>>LOCATION
車通りの多い青山通りから、Found MUJIの脇を奥へ入っていく。最初は少し雑多な雰囲気も感じてしまうが、すぐにこのエリアらしいおしゃれなショップやブライダル施設、レストランなども道中にポツポツと現れて、賑やかな青山通りとは対象な穏やかな環境が続いていく。そんな通りを奥へ突き進むこと2分ほど。個人的にはキャットストリートへの抜け道として使う事が多いこの道だが、その際にいつも魅了されている、森に溶け込むようなこの建物が見えてきた。
>>SPACE
以前はPaul Smithの日本フラッグシップ店「Paul Smith SPACE」として長く使われてきたこの建物。築20年ほど経つこの建物は、いい歳のヨレ感も滲ませていて、さらにそれと同じ年月で成長を続けた木々に溶け込むように、うまく身を隠している姿がなんとも素敵だ。
木々に包囲されているような建物だが、室内からも存分にその環境を味わうことができる。室内は、ガラス壁を包むように緑が生い茂り、まるでグリーンのカーテンにでも包まれているよう。シャープな鉄骨フレームやH鋼、床も渋い色のフローリングで整えられていて、まるで外の木々とリンクさせようとしているようだ。また、あえて建物裏側へ向いた窓は、不透明フィルムで視線を遮っている。それによって全意識を緑側へ集中させようとする意図もすごく伝わってきて、そんな環境との調和を意識した空間演出がとても好印象に映った。最上階の3Fにはガーデンテラスあり。椅子やカウンターなども作り付けられているので、こちらはリラックススペースとして使われていたのだろうか。広く、空間も抜けていてるので贅沢な気持ち良さの感じるスペースだ。唯一、地下だけはガラリと雰囲気は異なる。壁に囲われた、いわゆる地下らしい空間だが、上階があまりにオープンな分、この閉鎖感がどこか落ち着く感じもあった。
長年使われてきた居抜きということもあり、室内の状態は決していいわけではないが、この空間・建物が持つ本質的な色気には本物感があって、むしろ歳を重ねるごとにその魅力も増しているような印象をもった。
>>WORKSTYLE
この建物、建築当初はIDEEのSputnikという話題となったショップが入り、その後、Paul Smithによってこの環境や建物がうまく引き継がれてきたという過去がある。また、数年前まで向かいにあったLAS CHICASも、姿形は当時と変わらずに、現在では別のレストランとして雰囲気よく使われている。そうやってうまい新陳代謝を行いながらも、この環境は長年変わらず受け継がれており、これからもその意識は変わらずに続けていただきたい。
今回も、Paul Smithからのいいバトンタッチのタイミング。もちろん面積や賃料的なとこもあるので、誰でも容易に手に入れられる建物ではないし、内装を整えるだけでも相当な費用がかかるだろう。なかなか他にはないスペシャルな建物と環境な分、必然的に超えるべきハードルは高くなってしまうが、使い方次第では、またこのエリアの新たなファッションアイコニックとなる事も十分期待できる建物であることは間違いない。次にどのような方が入り、また新たなアイコン的な存在になるのか。神宮前エリアで働いている私にとっても、大注目の募集だ。
EDITOR’S EYE
シャープでモダンデザインな、言わば西洋風な建物なのに、そこに植えられた木々は、松や竹といった日本固有のものが多い。国境を超えてうまく絡み合ったような不思議さもあり、そんな世界観に惚れて西洋のPaul Smithがフラッグシップ店として使っていたと考えると、これまた変な面白みを感じられてきた。