恵比寿オフィス|元スタジオの居抜き空間
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>>LOCATION
恵比寿駅からスカイウォークを抜けると、目の前には恵比寿の1つの象徴ともいえる恵比寿ガーデンプレイスが広がる。異国情緒漂う建造物や、そこで過ごす人々から織り成すゆったりとした大人な雰囲気は、周辺エリアにはない特別な魅力を放つ。そして、そこからほんの少し目黒駅方面に歩みを進めれば、昔ながらの住宅も立ち並ぶ住宅エリアへ迷い込む。今回紹介する建物は、そんな住宅街に足を踏み入れてから少し歩いたところにある。周りの住宅とは異なり、大胆に木の外装が施され、建物の全貌が見えない少々怪しげな戸建てだ。
>>SPACE
撮影スタジオとして利用する際に改装された戸建て1棟。外観からはスタジオだとは判断できないが、周りの住宅と比べると毛色が違い、独自の世界観を纏ったオーラを感じる。そして、1歩建物内へ入れば、とことん作り込まれた室内。1Fは約11坪の中に、オーソドックスな白塗りの壁面の他、レンガ調の壁面と白い木扉、モルタル調の壁面、さらには、淡いブルーのタイルにコンクリート調のシンクなどが、様々な用途で撮影ができるように詰め込まれている。そして、2Fのトーンは1Fとは対照的にダークな雰囲気で、廃墟のようなエイジング加工が施された壁面、朽ちたモルタル壁面にヴィンテージ風の木扉などなど。全体をみれば1つの建物でこれでもかと様々な表情を見せてくる。これだけ聞くと、むしろ表情が多すぎて少々うるさく感じ、敬遠したくなる人もいるかもしれないが、ここからの内装アレンジももちろん許容されているので安心してほしい。
2フロアとも空間のバランスや素地自体は悪くない。大きく変えなくても、1Fは、少々味気ない照明をスポットライトやペンダントライトにするだけでもホームライク感ある空間にガラッと表情を変えるだろう。2Fはダークなヘリンボーンの床材が好みであれば、シンプルで落ち着きのある壁に変更するだけでも、洒落た来客室兼、会議室になりそうではないか。手直し前提で考えてみれば、容易にこの建物のポテンシャルに気付けるのは自分だけではないはずだ。
>>HOW TO USE
スタジオ用途と考えるならば、色んなシーンやカットを撮るために、カメラマンやモデルに対して、様々な表情を見せることは大事かもしれない。しかし、働く場として考えるならば、ずっとは付き合い切れないというか、なんだか疲れてしまう気もする。そう、人で例えるならば、この空間は八方美人というところだろうか。そして、本来多くの人は、芯があり、素直で裏表なく接してくれる人と付き合いたいように、空間もそのような性格を持っていると居心地が良く、ずっと一緒にいたいと感じることだろう。
建物自体ほど良いサイズ感のため、手を加えれば劇的にその印象は変わりやすい。とことん自分の居心地の良さ、付き合いやすさを追求し、この空間をキャラ変させるのもいいだろう。その結果、居心地良くてついつい終電を、、なんてことがあっても安心して欲しい、お風呂もちゃっかりついているので、ずっといられちゃう。恵比寿の落ち着いた住宅街の中、オフィスとそんな付き合い方してみるのも案外悪くない気がした。
EDITOR’S EYE
難易度高めだが、クセ強の内装をそのまま使う強者もウェルカム。強いていうならば、 WEB会議の背景として使うのも面白いかも。元スタジオの強みを活かして、商談相手によって背景を使い分けてみるというのはある意味ちょっと贅沢な使い方だ。