EDIT
目黒駅から権之助坂を下っていく。軒先を連ねた飲食店を通り越し目黒川を超えた数分のところに、シュッとしつつも、こだわり深い外観のこの建物を見つけることが出来る。豊富な飲食店、季節によっては桜並木も望めるこのアプローチは駅からの坂道をマイナスと捉えても、十分プラスに考えられる悪くないロケーションだ。
地上10階建ての個性的なフォルムの建物。そんなビルの上層部にある2層セットになった今回の物件。エレベーターを降り、部屋の扉を開けると、まず目に入ってくるこの吹き抜け空間。2層分の吹き抜けはなかなか希少な空間だ。ガラスのアール面は、風景や光などをこれでもかって言う程取り込む。夜遅くまで働く時、ここから望むロマンチックな夜景は最高の癒しとなるだろう。日当りは良好すぎるため、夏は日差し対策が必要だ。キッチン回りは木や黒などをベースに、シックな大人の色味で整えられている。天高はさほど高くないが、この高さが吹き抜け空間をより開放的に感じさせる良い効果を生んでいる。2層を繋ぐ階段などは無く、エレベーターのみとなるため、空間は完全に独立している。大小2つの部屋からなる上階部は、住宅で言う離れのような使い方が出来るだろう。作業場や仮眠室など使い道は色々と考えられる。メインのワークスペースとは少し距離を取りつつ、すぐにアクセス可能な程よい距離感がいい。
こんなオフィスで働いたら楽しそうだと思える空間だが、一方で内装の仕様が少しもったいない気もした。特にこの吹き抜け空間は、この室内で最も顔になる場所。例えば、床のカーペットタイル。これを無垢材パネルに変えてみてはどうだろう。無垢の色味と白い壁のコントラストが、吹き抜け空間を劇的に変貌させる。中央には大きなテーブルを置いてみるといい。ミーティングや通常の作業など、すべて一つのテーブルで簡潔させる使い方もあるだろう。既存の黒いカーテンはこのままでも十分良いが、白いレースカーテンも面白いと思う。レース越しにうっすら写る風景や光が、柔らかな空間を作る。オフィスは会社の顔となるので、是非このポテンシャルを生かした良い空間を創って欲しい。
EDITOR’S EYE
ビルの管理が行き届いているため、共有部も綺麗で安心だ。元々スタジオビルだった為か、エレベーターはビルの規模にしてはだいぶ広く、3周でもすれば、ほぼほぼ引っ越しは完了しそうだ。撮影スタジオや、天高を必要とする業種にはとても希少な物件なので、興味あれば是非見てほしい。