EDIT
千駄ヶ谷駅と北参道駅の丁度中間あたり。千駄ヶ谷の駅を背に進み、鳩の森神社を超えて坂道を下ると、おしゃれなアパレル事業者のオフィスや店舗が増えてくる。その辺りになると、いよいよこの千駄ヶ谷エリアらしい独特な雰囲気が漂う。戸建てや低層のビルが立ち並ぶ住宅街の様でありながら、住宅街には通常はない華やかさが見え隠れする面白い雰囲気。
今回ご紹介する物件は、そんな街の雰囲気を盛り上げてくれる、かなり独特な物件。入口から眺めるだけでも、ここはなんだ?と覗き込みたくなる程の異空間だ。
この空間は、1階地下1階から成るメゾネットタイプ。元々はアパレルのショールーム。入口のサッシから、床、照明、バーカウンターなどなど、存分に作り込まれたこの状況が、もれなく次なる入居者に引き継がれる。
世界観が出来上がっているため、好みが別れるかもしれないが、きっちりと細部まで作り込まれたこの空間がドンピシャではまる方には、他にはない空間との出会いに嬉々とすることだろう。この空間が出来てから月日はあまり経っていないが、この成熟感がたまらない。足を踏み入れた瞬間から時間の流れがゆったりとするような錯覚すら覚える。この空間であれば、どんなにせわしなく働いたとしても、空間がそれを中和して、穏やかさが保てるのではないだろうか。
空間は、作り込まれている分レイアウトには工夫が必要。ある程度の改修も視野に入れつつも、出来るだけこの雰囲気を崩さず、上手く空間に併せて利用していただきたい。この熟した空間をより長く維持して、更に時間をかけて経年が生む深みも加えていっていただきたい。
この完成度の高い空間を生かしきれるかは、次の入居者次第。備わったバーカウンター等は社内でフル活用してもいいし、クライアントや、友人を招き入れて夜な夜な情報交換などをして、この空間から生まれるコミュニケーションを楽しんでいただきたい。きっと普通のオフィスからは生まれない、この空間ならではの熟成を入居者もすることになるだろう。
EDITOR’S EYE
この空間を気に入った方がまずすることは、悩むことだと思う。現在のレイアウトを生かし、以下にワークスペースを確保するか。空間自体が規格外のため、働くスタイルも、レイアウトに対する考え方も、規格外なアイディアが必要かもしれない。
もし、この空間がきっかけで、オリジナリティのある働き方を見つけられたら素敵だと思う。