EDIT
神宮前交差点から、ラフォーレ原宿や東急プラザのある方面、原宿警察署の方へと進んでゆく。警察署を越えて明治通りから右側に逸れると、道が枝分かれし、小粋な雰囲気を醸し出す飲食店やアパレルのショップがちらほらと点在しているエリアに変わる。そこから少し入ったあたりに、いい具合に経年が感じられる洋風の趣の建物があった。
白い扉を開けると、室内に入るための扉を開けたはずなのに、一見、外部のような空間が続いている。コンクリートの床がまっすぐとのびた、外と内の”間”の不思議な空間。壁は黄色く塗られ、明るい印象。その壁沿いに、額や写真など何かしら作品が飾られていたのだろう。ワイヤーが等間隔に下がっている。そしてその部分を照らすように、スポットライトが配置されている。奥に行くと段差があって、ここを上がるとオーク材のフローリングのまとまったスペースが広がる。広さはそれほどいらないけれど、部屋を2つに区切れたら嬉しいという声はよく聞く。そんな声にもこの空間は、深みのある青いカーテンがゆったりと応えてくれる。
ごちゃごちゃしがちなワークスペースは奥へ追いやって、手前には打ち合わせができるくらいの簡単なスペースを設けて、まとまった空間として普段は使用する。来客の多い企業や、アパレルでちょっとした展示会をしたい時には、この青いカーテンにお願いすれば、見せたくないものは包み隠してくれる。そしてここを訪れる人々は、奥の空間に来るまでに、ギャラリーのようなあの不思議な”間”を通らなくてはならない。この”間”に配置するのは、自分たちのこれまでに手がけた作品でも、ただ好きなアーティストの作品だっていい。ただ、それぞれの物事のバランスや順序を気にしながら、次に立ち現れるものの魅力を最大限に引き出す。そうした感覚を大事にしている人たちには、うってつけの仕掛けができる空間だと思う。自分たちの顔になるこのスペースに、日々手を加えながら過ごす。洗練された感覚をさらに研ぎすましていきたいという方、ぜひこの空間を働く場にしてほしい。
EDITOR’S EYE
クローゼットとは別に、ちょっとした収納の空間がある。コート類を掛けられるように、パイプがL字に通っている。いざという時のためにジャケットを何着か置いておいても余裕である。ブラインドをおろしてしまえば見えないようになっている。