EDIT
白金台、リニューアルを迎えたばかりの庭園美術館とは逆方面。目黒通りを一本入りまっすぐ進んでゆく。道中、どこかの敷地内にあるレンガ造りの建物が目に入る。つくづく他のエリアとは違う独特な、そんな外国のような情緒をたのしみながら、駅から歩くことたった5分。淡いコンクリート打ちっぱなし、清涼感のある外観の建物に辿り着く。
2014年夏に竣工したばかりのこの物件。まだ何者にも染められていない、清々しい空間が広がっている。例えば半地下の区画、コーナー窓の上部からは充分に陽が射し込み、暖かい時期には窓からここちよい風がそよぐことだろう。照明はライティングレールが天井に埋め込まれていて、スッキリとした印象。コンクリート打ちっぱなしの壁の一部、四角い穴がぽっかりとあいている。裏に回るとそこにはキッチンがおさまっている。生活に必要な水回りが備わっていながら、生活感はまるで感じさせない造りとなっている。上層階の区画では、窓の向こうがひらけていて、目に優しい緑が広がっている。そこは隣にある女学院のグラウンドらしく、木々に囲まれた広大な敷地はさながら公園のようで、東京にいるのを忘れさせてくれそうだ。
さほど広くはないこちらの物件。3、4人だとおさまりが良いだろう。これまでは別々に動いてきた4人が、そろそろ一緒に作業できる場所がほしいと思いはじめた頃、まだ誰の手垢もついていない、まっさらな空間でスタートを切るのはいかがだろうか。
東京は好きだけれど、あまり喧騒にもまれるのは好きじゃないという方に、この街は向いているかもしれない。落ち着いた環境の中で自分の好きな音楽に浸りながら、こつこつと仕事に向き合うのに適した場所だ。仕事の合間、ふと耳をすませると、窓の外に広がるグラウンドから若々しい覇気の感じる声がかすかに聞こえるかもしれない。街の喧噪ではなく、そんな生き生きとした環境でトコトン働くのも、素敵な働き方ではないだろうか。
EDITOR’S EYE
上層階の区画は、床に溝が入っている部分を引き戸で仕切ることができる。コーヒーブレイクのスペースとワークスペースを分けてもいいかもしれない。