EDIT
外苑前の交差点からスタジアム通りへ入る。飲食店の看板が目立つ、活気ある通りに建つビルには、実はオフィスも多数入居している。似たような雰囲気のビルが多い中、ビルのサインを確かめるように歩いていると、駅の出口からほんの数メートルという位置に、この建物を見つけた。
募集しているのは地下1階部分。地下にある区画はここだけになるため、募集区画へ向かう階段は、実質専用といってよいだろう。階段を下りて突き当たりの扉を開けると、約30坪のフロアが広がっている。地下というと、ひんやりとして暗いイメージをお持ちの方もいるかもしれない。だがここには、フローリングと壁のざらざらした質感からか、何となくぬくもりを感じた。ただ、窓がないため、自然光を取り入れる事は諦めなければならない。そこは逆手に取って、照明のつけ方や光の色味、量などに工夫を凝らすことで、自分好みの雰囲気を造ってみてはいかがだろうか。また、周囲の騒音から逃れられる事も地下のメリットだ。ということは反対に音を出すのもある程度自由。聞く所によると、ここの最初の入居者はレコーディングスタジオであったという。写真にある、ストックルームの様に見える小部屋は、実は機材室だったそうだ。その後はアパレルの展示場を経て現在に至る。ここは以前からずっと、物作りに関わってきた空間だったのだ。仲間が集まって、外の世界からは一線を引き、こつこつと集中して何かを作り上げていくには、地下というのは案外適しているのかもしれない。
とある建物の下に広がる秘密めいた空間。自分たちらしい雰囲気を造り上げた後は、スタジオでも、アトリエでも、工房でも、好きな名前で呼んでもらえればいいと思う。
EDITOR’S EYE
水回りは区画内に用意されているが、少し年季が入ってきているので、ここはリフォームしたい所かもしれない。エントランス部分も含め、造作は比較的自由に相談できるという。活かす所、なおす所を選んで、まずは空間造りを楽しみたいところ。なお、窓がない事で、空調を心配されるかもしれないが、空調衛生設備は備わっているそうだ。