EDIT
西麻布の交差点と広尾駅と丁度中間地点。外苑西通りから少し逸れた住宅街の入口にこの建物はひっそりと佇んでいた。道路から少し奥まったこちらの建物は、敷地の手前まできてもその建物は緑に囲まれ、その全体像は明らかにされることはない。大正築のこの洋館は建物だけではなく、緑を含む敷地自体と共に時間を過ごし、その身に纏う魅力的な世界観を訪れる人に与え続けていた。
大正モダン、大正ロマン、誰しも一度は耳にしているこの言葉も、実際に触れることが出来る機会に恵まれた人は少ないのではないだろうか。今回はそんな一時代を映し出したような建物の借り手を募集している。建物は、西村伊作氏の設計。地下1階、地上3階から成るこの建物は、廊下、階段、各部屋の配置等、かなり独創的なもので、建物内を回遊するだけで十分に楽しむことも出来る。天井や、サッシ、暖炉等建物を構成するものの殆どが時代を感じさせる魅力に溢れているが、古くささという印象はない。むしろ新鮮さすら感じさるこの空間に多くの人が魅了されることは間違いないだろう。
また、南側に面した広々とした庭の存在も大きい。現在は松や、紅葉、ケヤキといった木々に囲まれつつも、土が剥き出しになった部分が大半を占めている。現状を維持しつつ、より一層魅力的な場所へと導くのも腕の見せ所になるだろう。
敷地に一歩足を踏み入れた時から、この物件の世界感に包まれる。時代も、場所も忘れさせ、訪れる方にとても身近な非現実的な時間を過ごしていただく為、昔の人々の想い耽ったロマンの続きをあなたなりに引き継いでみてはいかがだろうか。
EDITOR’S EYE
こちらの建物はその地域上の問題でオフィスとしての利用が制限されている。飲食店や、ギャラリー、サロン、ショールームといった店舗の性質を前提した用途とする必要がある。オフィスのような独占的に自社の城とすることにも憧れるが、そういうことであれば、ここはひとつ、訪れる方をもてなす場として活用してみていただきたい。