南青山オフィス・店舗|天井高 地下スケルトン空間
EDIT
>>LOCATION
骨董通りの少し奥。青山通りを背に駒沢通りとの交差点辺りまで行くと、比較的大きめの交差のためか、それまでの混み合っていた印象から、ちょっと落ち着いた雰囲気に切り替わる。根津美術館や岡本太郎記念館の穏やかな空気感とBlue noteの大人な空気感、立地的には少し不便さを感じながらも、いつの時代も期待値が高いこのエリアの地下に今回の空間をみつけた。
>>SPACE
建物の一画に備わった地下への階段。割と控えめな存在で、先の見えない階段だからか、降りるというよりはどちらかというと潜るという感覚に近かった。
降り立った地下1Fは、期待以上の正真正銘地下空間。窓もなく、設備もないスケルトンで、本来は形の良い空間すらも、中央にある柱と構造壁でぶった切っているという状態だ。正直、かなり難易度の高い物件だと思いつつも、じっくりこの空間と向き合うことで、少しずつ面白さを感じ始める。天井は高めの約3.3m、あるものといえば壁と柱のみ。そのあるものをずっと見ていると、その表情の豊かさはなかなかのものだった。
入り口付近のレンガの壁面、同じコンクリートの壁でも壁ごとにかなり表情は異なる。このままではもちろん使いこなせないだろうが、白く仕上げたり、そのままクリア塗装で仕上げてもその表情は失わずにこの空間を賑わせてくれるだろう。窓もなく、あるべきものが何もない空間だからこそ、この空間が持っている見逃しがちな面白さを際立たせてくれた。
>>HOW TO USE
空間に面白味を見つけたとしても、この物件のハードルはまだ高いまま。壁しかない空間には、まだまだ超えなくてはならない壁がある。かなり重めな敷金設定や比較的強気な賃料目線、そして、この空間を生かし切るための工事費用などなど。飲食店はNGなどの利用制限もあるため、想定できるのはギャラリー、ショールームや、パーソナルジムなどの必ずしも窓を必要としない現実的な入居者だ。恐らく、まともに考えてしまうと相当可能性の低い入居者募集になってしまうと思うが、この空間の良さを見出してくれる入居者が来てくれることを切に願う。一見荒くれ者で、手が付けられないようなこちらの空間だが、実は表情豊かで、物静かないい奴オーラもちゃんと出ているので、そこをしっかりキャッチして、長い付き合いをしてもいたい。もちろん荒くれた部分を覆い被して扱いやすくすることも否定はしないが、素地をうまく生かし、色気ある空間に仕上げ利用していただけたなら、私も時々会いに来きたいと思う、そんな壁ばかりの空間だった。
EDITOR’S EYE
ダメそうな奴ほど可愛く見えるではないが、ふと冷静に賃貸条件を確認いただければ、ハードルの高さも改めて感じてしまうかもしれない。ただ、このエリアが好きで、この空間に頑張って欲しいと思っている以上、気に入っていただけた際には条件交渉にはいつも以上に熱を入れて取り組みたいと思っている。