EDIT
地上に降り立つは表参道の交差点。この交差路によって仕切られる4つのブロックは、これだけ近い存在でありながらも、どちらに歩を進めるかで街の印象がなかなか変化に富んでいるように感じる。今回は、その中でも”南青山3丁目”のブロックに現れた、スタイリッシュな外観のニューフェイスをご紹介したい。このブロックを代表するスポットを挙げるとすれば、ブルーボトルコーヒー、COMMUNE246、キルフェボン、HIGASHIYAMA、、などなど枚挙に暇がない。このあたりはメイン通りの裏手になるので、場所を説明する際の目印によく使われたであろう、ホテルフロラシオン青山も挙げられる。2014年暮れに幕を閉じることとなったこの跡地は、まだどう姿を変えるのか明かされていない。このあたりの避難所になり得る公園になるのでは、、という憶測も行き交うがそれはまだ見ぬ先の話。今回の物件は、そんな裏通りのシンボル的な存在であった、ホテルフロラシオン跡地の斜向いにあたる、この秋竣工したばかりの新参者である。
建物はぴっかぴかの新築、地下1階から2階まではスケルトン状態で、それぞれを各テナントがほぼ0から造り上げるイメージだ。大きくL字型に連続した窓は、道行く人への露出度も高めなので、各室のインテリアにも気を抜けないところである。建物の印象を左右する1、2Fに、どんなテナントが入るかはある程度気に留めながら、今回は3Fのすでに仕上げられた空間をご紹介する。3Fエレベーターの扉が開くと、そこはワンフロア独り占めの空間。エレベーター前からいきなり空間が始まっているものの、受付を作れそうなスペースもきちんと確保されているのでプランニングのイメージがつきやすい。天高は、ゆとりを感じ始める高さである2.7m。大きく切り取られた窓も手伝って、やわらかな光溢れる清潔感ある空間だ。窓といえば、ふつう足下は壁に守られているものなので、首あたりから足下までが視界良好だと、なんだかスースーするような心地がする。普段あるはずのものがそこにないと、視界が抜けて、不思議な開放感を覚えるように感じた。下から射し込む光は、天井の白に反射しやすく、室内をさらに明るく演出してくれる効果も期待できそうである。
3Fは、行き交う人を見下ろしやすく、街の動きを感じながら働くことができそうだ。こういった空間を求める企業はクリエイティブな企業が多い傾向があり、日々トコトン朝まで仕事に打ちこんだ結果、シャワーを浴びそこねる日もあるであろう。しかしここならお風呂も完備されているので、仕事で煮え立った脳をリフレッシュさせることもできる。窓際に沿って、室内緑化にチャレンジしてみれば、太陽の恩恵は充分に、のびのびとぐんぐん育つことであろう。そんなスペックを強みにして、仕事のオンオフを上手に切り替えられるようなオフィスにしてみてほしい。
ホテルフロラシオンのなくなった今、これからは自分たちのオフィスがあることで裏通りの目印とされるような、そんな大きな存在感をここで放っていってほしい。安くはない賃料だが、それだけのポテンシャルを兼ね備えている物件だと思うので、ぜひ裏通りのシンボルの座をその手にしていただきたい。
EDITOR’S EYE
地下には店舗の区画が空いており、天高にも少しゆとりがある。もし体力のある企業ならば、3FとB1Fをセットで借り、上は自社オフィス、地下は自社ショップにしてしまうことで、裏通りのシンボルへの近道となることだろう。