EDIT
日々多くの人で賑わう神宮前交差点より、徒歩数分ほどの場所に見つけた今回の空間。トレンドなショップが建ち並ぶキャットストリートを渋谷方向へ進み、1本細い路地を突き進んだ奥にある。角地に建つ小ぶりな商業ビルで、下にはアパレルと美容室が入居しているため、建物の印象もなかなか良い。周囲には小さいながらもそれぞれ個性的なカフェやショップも多く、仕事以外の時間もなにかと楽しめそうな環境だ。
美容室の恩恵を受け、綺麗に保たれた階段を上っていった最上階3階部分。ガラス戸越しに中を覗くと、明るく気持ち良さそうな空間が広がっていた。正直、この空間には一瞬で心を奪われる。室内は30㎡程とかなり小ぶりだが、2方向の窓越しに広がるバルコニーと、その先に続くポッカリと空いた表参道の空のバランスがなんとも絶妙だ。室内はコンパクトな無骨な鉄骨剥き出しのスケルトン仕上げだが、清潔感は保っており、天井も高く、白を基調とした壁面は半分ガラス面で明るい。最大限に人を詰め込んでも、圧迫感はそれほど感じさせないだろう。奥には開放感を追求し過ぎたトイレが設置されている。片面ガラス張りの露出度はだいぶ高め。明るく爽快だが、使用にはそれなりの対策を願いたい。
この物件の顔とも言うべきバルコニーと、そこに広がる空は格別。室内よりもバルコニーの方が大きいので、室内で満たされない気持ちを、このバルコニーで存分に果たす事が出来る。様々な使い方が考えられるが、ベーシックにコーヒーテーブルや植物などで彩るところから始めると良い。天気のいい日は室内にこもっているのはもったいないので、外にラグなど広げてゴロゴロと仕事したり、夜は夜景とキャンドルの光で一杯飲みながらたわいない話で盛り上がりたい。画面に疲れた時はただ上を向くだけでいい。手を伸ばせばつかめそうな空は、最高の癒しとなるだろう。常に同じ風景というのも面白くはない。それなら植物も少し工夫して、季節によって色付きが変わる種類を置けば、日常のワークシーンの中に、季節の色を取り入れられるだろう。最小限のワークスペースと、大きな自由を得る事が出来る物件。この物件を借りる為に働き方を考えても良さそうだ。
EDITOR’S EYE
もし私がもっと大きな部屋を探していたとしても、この空間を借りる為にはどうするか真っ先に考えるだろう。室内の必要の無い機能をどんどん削っていき、逆にバルコニーで出来る事をどんどん追加して行く。きっと最高に気持ちのいい使い方が出来るはずだ。賃料は少々高めの設定だが、このバルコニーと眺望が付いているのでそれも自然と許せてしまう不思議な魅力をこの空間はもっている。