EDIT
青山通りの伊藤忠本社前、カッシーナの脇を西麻布方面へ入っていくと、周辺には小ぶりな飲食店が並び、大通りとは違った賑わいを見せている。さらに少し路地を入ると一棟で募集している建物がある。植栽で囲われた赤いレンガタイルの洋館の建物は、周辺とは変わった雰囲気を放ち、好奇心で覗いてみたくなるような独特さがある。
元々は知る人ぞ知るタレント育成の施設として使用されていたが、退去後しばらくしてようやく募集に出された。引渡しは現況の状態となり、前入居者の仕様となっているため、全面的な改装が前提となるかもしれない。しかし、その分原状回復については協議の上全部もしくは一部免除できるため、改装を想定しているのであれば悪い条件ではないだろう。
現況では1階は鏡張りのダンススタジオ、2階の一部には白ホリのフォトスタジオ、3階は住宅らしさのある居心地の良い空間となり、ところどころ見所がある。さらに、エントランス脇にあるのは柿の木だろうか、とてもシンボリックに建物の表情を彩っている。季節ごとに表情を変えていく緑を、毎日のように眺めているときっとこの場所への愛着は増すことだろう。
そんな建物の雰囲気やロケーションを生かして飲食店をおすすめしたくなるが、法規的な問題で用途変更ができないため、オフィスもしくはサービス店舗での利用に限定される。しかし、そんな知る人が思い思いに集まり、心地よく過ごせるような洋館の雰囲気を活かして、ゆったりと居心地よく仕事ができる環境を用意することができるのではないだろうか。また改装が前提のため、音楽スタジオや撮影スペース、来客を招くサロンやショールームなどを一部設けることもできる。スペースが6つに分かれるため、空間の機能やレイアウトを工夫する必要があり、実験の場としてもぜひチャレンジしてみてほしい。
なかなか一筋縄ではいかないこの物件、我こそはというかたには思いっきり可愛がってもらいたい。
EDITOR’S EYE
以前は子供達で賑わっていたこの建物、周囲の人からはどんなテナントが入るか期待されている建物。ぜひ内装だけでなく、外装にも手を加えて、スタッフも来訪者も周囲の人でさえも、ワクワクするような場にしてもらえると嬉しい。