EDIT
小洒落たカフェやブティックなどが、住宅地の中にチラホラと建ち並ぶ千駄ヶ谷。原宿などからもさほど離れていないのにも関わらず、ここはとても静かなエリアだ。北参道駅からわずか徒歩2分と、スープのさめぬ距離にある今回の物件は、向かいにはGAギャラリーがあり、建築やアート好きにはたまらない立地となる。見た目は少しレトロな白いマンションだが、外観からは想像出来ない空間がその地下に潜んでいた。
建物横にある専用階段を降りると、広々とした地下空間が現れる。コンクリートの重厚な壁や柱。柔らかなアールと直線が交わる造形的な天井。それらを照らす照明など、どこか近未来映画のワンシーンにでもまぎれてしまった感覚を覚えた。この床の質感がそう感じさせるのか。現況OAフロアーのベースのみなので粗粗しいが、これは好きなマットを選んで頂こうというオーナーの心遣いから。入居の際には空間のテイストに合わせて素材を選ぶのもいいが、このままクリア塗装等で仕上げて、無骨な印象を残すというのもいいだろう。天高は平均して3Mあり、ハイサイドライト部分は4M以上。この高さから落ちる光や、ライトコートからの光が室内に良い効果を与え、地下固有の暗さをあまり感じさせない。もちろんそれだけでは薄暗いため、照明は必要だが、晴れた日にはハイサイドライトから射し込む光が印象的な空間を作るだろう。個性的な形状のライトコートは休憩などにピッタリのスペース。奥へ進むと裏の駐輪場まで続くので、自転車で来る人はここから出社してもいいだろう。少しラグジュアリーなエントランス横には、こぢんまりとした個室もあり、ここは小さなミーティングスペースや、社長室としても使えそうだ。半スケルトンのようにざっくりした空間に見えるが、水回りなどの設備もしっかり整備されているので、そこも安心して欲しい。
倉庫のようなガラッとした空間を生かし、大きな作品や模型などを作るクリエーティブな業種に良さそうだ。作業用の大きなテーブルをいくつか並べても、圧迫感を感じず、この空間なら様になるだろう。4Mの壁に作品などを吊るしても面白い。仕事風景までもが作品になりそうな空間だと思う。
EDITOR’S EYE
地下物件は、オフィスとしてはなかなか敬遠されがちだ。しかしそのマイナスポイントがあろうともびくともしない魅力がこの空間にはあると思う。