EDIT
白金高輪の駅から、桜田通りを少し進んだ交差点の一角にこの建物はあった。駅からの距離はほんの数分。交差点に立ち、この建物を見上げても、正直あまりピンとこないというのが第一印象だった。桜田通り沿いにエントランスはなく、細い横からのアプローチ。元々銀行が利用していたことで、だいぶ変わった構造をした建物だった。
3,4階専用となったエントランスは、その2フロアが空室の状態の今、サイン看板も主を表示することなく、ただたださみしさを演出していた。
エレベータに乗り4階に到着するも、そこは仮の空間。そこからさらに外廊下の共用部分を通り抜けることで、この空間にたどり着く。華やかな前入居者の価値ある忘れ物。外観やアプローチのマイナス点をすべてプラスにすら思わせてくれる、格別な空間がそこにあった。
4階の仕様は、床はフローリング、天井は取り除かれ、最高3m以上はある抜けた空間。使い古されていても空間を作り上げた人の細かい仕事が感じられる。誰にも気づかれないだろうところに、こんな豊かな空間があることだけでも十分に満足がいくが、カウンターや、和室、奥まったところに設置されたMTGスペースなど、遊び心ある構成に、こんなオフィスで働いてみたいという思いが膨れ上がる。
3階も同様に、前入居者の作り込みをそのまま留めている。ジム的な用途に利用していたため、全体的に清潔感あるクリアな印象を受ける。Multi roomとされた空間は、このまま放置するにはもったいないほどのきれいな状態が維持されており、区画をざっくりと仕切られたこのフロアは、ちょっとした工夫で生まれ変わるだろう。
建物を外からみた印象とのギャップはかなり大きい物件。ここをオフィスとする方は、自分たちの気持ちよく働く環境だけではなく、来訪するお客さんを楽しませる演出も手に入れることは間違いない。
EDITOR’S EYE
大きな抜けた空間があるのに、ちょこちょこと隠れ部屋や、遊びのあるスペースが存在する物件。働くことへのモチベーションだけではなく、ちょっとした遊び心も刺激してしまう仕事場で、あなたの生活の中の働くという時間を満喫してもらいたい。