EDIT
百貨店と、それを囲むように少しくたびれたビルが街を形成する新宿三丁目。新宿と聞けば誰もが高層ビルが乱立する光景を想像してしまいがちだが、ここは落ち着いた雰囲気すら感じる瞬間がある。その反面、5分も歩けば新宿駅前の賑やかさも顔を出し始める、落ち着いていると一言では言い難い独特の空気感をもった場所である。
そんな場所で異彩を放っていた建物があった。それが異才の建築家と呼ばれ、軍艦マンションで知られる渡邊洋治氏が手掛けたこの物件だ。彼は陸軍の出身ということもあり、至るところにそのモチーフをデザインした建築物を手掛けている。この建物も例外ではなく、窓の形状などを見ても独特の存在感を出している。
そんな建物が生まれかわったのは2008年7月。1棟フルリノベーションされ、新たな存在感を備えた現在の姿となった。1階にはアンティーク家具を扱うショップ、地下はカフェバーが営業しておりビル独特の雰囲気を残しつつ、このビルに入居しているだけでステータスが得られそうな空気を持ち合わせている。
ここなら部屋全部をワークスペースとして空間を仕切ることなく使いたい。打ち合わせは地下のカフェで。そこまで来客を見込まないのなら、そうやってリノベーションされた空間を楽しむのも良い。借りている空間だけではなく建物そのものが働く場となる。そう考えれば物件選びもまた、空間や賃料という判断基準だけではない見方ができそうだ。
EDITOR’S EYE
建物の持つ歴史やリノベーションの良さを知っているからこそできる働き方をしよう。この建物にオフィスを構えるに至った価値観やストーリーをクライアントに語ることができれば、自身のビジネスの幅が少し変わるかもしれない。