前面道路に対して奥に広がるこの建物。建物に沿うようにのびるすぐ脇の小道をまっすぐ進むと、地下へ続く階段の入り口がある。恵比寿という土地と明治通りという大通りがこんなにも近くにあるというのに、あえて隠れてしまった入り口。目立ってしまいがちなこの場所で、入り口までの動線が奥まっているという絶妙な隠れ家感が、なんだかクセになる。もちろん看板の掲出はオーナーさんに相談できるが、あくまでも“さりげなく”を追求したくなる物件だ。

周辺は広尾の住宅街が広がる閑静な立地。とはいえオフィスワーカーのにおいもするし、戸建オフィスもちらほら。同じ恵比寿でも線路を挟んで反対側、多くの人が出入りする賑やかな雰囲気とは異なり腰の据わった雰囲気があって、ここで働き始めたら“地元感”が出てくるのではないかとふと感じてしまった。

天井高最大5メートルの室内は、写真の通り一部中2階が設けられている。入ってすぐにイメージしたのは、管制室。壁沿いにデスクが並べられ、スタッフそれぞれがモニターに向かっている。本当の管制室ほど機械で埋め尽くしたくはないが、ごちゃごちゃといろいろ詰め込むというよりは整然としたオフィス空間のイメージができてしまう。
ここから世の中に発信されていくクリエイティブ作品たちが、「こんな場所から生み出されているのか！」と来た人が驚くような、独特の存在感のある物件なのだ。

ここは、じっくり仕事に向き合える場所。落ち着いた雰囲気と、集中できる静かさを持っている。ただそこは恵比寿、一歩街に出れば感性と胃袋を満たしてくれるお店が溢れている。オフィスの“働”と恵比寿の“遊”のバランスを楽しもう。