新宿オフィス・店舗|天井高 スケルトン空間
EDIT
>>LOCATION
今回の物件は、ファッショントレンドエリアからは少し逸れた新宿区。ただ、新宿とはいえ繁華街を抜けた先の、スーツ姿のサラリーマンの多い新宿5丁目エリア。心なしか建物前を行き交う人は足早な印象で、ビジネス街とも思えるロケーションだろう。建物は靖国通り沿いに立ち、近隣のビルとは異なった、コの字を積み上げた様な特徴的な外観。外部の補修はもちろんしているが、築50年を経過した建物の路面に位置する空間が、次の主を探していた。
>>SPACE
以前までは、このエリアの貴重な寛ぎの場所として、人気のカフェバーが入居していたこの空間。造作も設備も取り外された所謂スケルトンであるのだが、そんな一括りの捉え方には思わず待ったをかけたくなるほど、年月を経た建物独特の色気に溢れる魅力的な空間だった。室内は上下に分かれたメゾネットタイプ。1Fは、道路に向かい大きく窓を確保し、圧巻の天井高5m程。少し頼りなさげな階段を降りた先の地下は、天井3mの四角いハコの様なスペースで、現状では照明も窓もなく薄暗いが、階段上部から差し込む光がやけに印象的に映った。
全体的にヨレた室内ではあるが、室内の落ち着いた雰囲気や独特の躯体の質感など、経年から来る不思議な色気と味わいが感じられた。空間が分断され、まとまったスペースが確保しづらい点はややハードルが高いかもしれないが、柔軟さを持ちつつレイアウトしてみて欲しい。
>>HOW TO USE
なんとも色気のあるこの空間をオフィスとして仕上げたら、パンチのある空間になることは疑い様がない。外部からも視線の集まる1Fをワークスペースとして、大きな照明を吊り下げ、ヴィンテージ感のあるテーブルを置き緑で彩る。階段下の地下は、スタジオ的な利用や、映像・音楽などの編集作業なども含め篭る場所としても良いだろう。もちろん飲食含めた店舗利用も可能となり、夜になるとオフィスがバーに変化する様な、遊び心のある利用も歓迎してくれるはずだ。
内装工事の負担は避けられないが、可能であれば全てを覆ってしまうのではなく、既存の雰囲気を活かしたまま利用してもらえると、ピカピカの建物には真似できないより味わい深い空間ができあがるはず。年齢を重ねてもなお魅力的なこの建物に、さらなる魅力を重ねる様な使い方をしてみてほしい。
EDITOR’S EYE
レトロ、ヴィンテージとも少しイメージは違い、敬意を込めてオールドとした。以前がバーだったからではないが、味わい深いウィスキーの様な印象を受ける空間は、好みは分かれるし費用もかかるかもしれないが、好きな人にはたまらないはずだろう。決して新築では味わえないこの空間の雰囲気を堪能しつつ働いてみてほしい。