渋谷オフィス・店舗 | JR線沿いスケルトン空間
EDIT
渋谷駅を背に、通称ファイヤー通りを道なりに歩む。多くの人々で賑わう渋谷駅周辺を抜け、タワーレコードを過ぎると、程なくしてこの建物は姿を現した。JR線と交差する数件ほど手前に建つこの建物。ほっそりとした長身なフォルムで、中央部にはまるでヘソのように見える面白いフレーム付いている。今回はそんな建物の中に、なかなか他には無い個性的なシーンを望む空間を見つけた。
建物正面より直通の階段を上った2階が紹介区画となる。室内はファイヤー通りと山手線を一直線に結ぶ”うなぎの寝床”のような作りだが、3M弱の天高や双方にさずけられた大きな開口面など、空間のポテンシャルはいくつも感じられる作りだ。内装は荒々しいスケルトンの状態ではあるが、露となった空間本来の素地が割とキャラクターをもっていて愛嬌がある。もちろんこのままでの使用は難しいとは思うので、入居の際はベースを整える工事は必要となるだろう。しかし、あえて内装を整えすぎず、この空間にしかない特色を活かすようなレイアウトに挑戦してみてはどうか。手のかかる子だからこそ、いつまでも愛着を感じる空間となりそうだ。
この物件の最大の面白みは、行き交う山手線を水平に望む絶妙な高さと立地にあるだろう。数分おきに走り抜ける電車が常に空間に動きを与え、室内だけでは得られない面白みを加速させている。夜景や緑を望む物件などはよく聞くが、窓先を電車が走り抜けていく物件はなかなか聞いた事がない。例えば鉄道カフェのような強みを絞った使い方も出来るし、オフィスや店舗など、特別業種には関係なくとも空間のエッセンスとしてうまく利用も出来るだろう。電車好きの人にはもちろん、他にはない空間をお探しの人には興味深い物件ではないだろうか。
EDITOR’S EYE
スケルトンではあるが、エアコンは残置として残されているので少しながら初期コストの削減はできそうだ。正面はファイヤー通りを行き交う人々。山手線からは乗客が無意識に目をやるような、日々多くの人の目に止まる視認性のある物件。少々プレッシャーを感じるが、その強みを最大に活かし、会社のセンスを見せつけてやるような空間に仕上げてほしい。